さて、やってきましたノシャップ岬。
大灯台がそびえる。おれも風のマントがあれば樺太まで渡れそうだが、
まだバギもベギラマも覚えてないので、今日のところは許してやろう。
イルカ時計によると、まもなく8時半。
朝っぱらから、黒いスーツの男がぽつんと独り海を見つめている。
その後姿はなんだかとても深刻そうで、近づきがたいオーラをまとっている。
どうしたんだろう。
眼鏡でも海に落としちゃったのかな。
海の向こうには、永遠の楽園、利尻島が現れ出づる。
こっちには礼文島が妖しく横たわる。
幾千年果てしなきウニと希望を、一夜のうちに消してしまったのか
早く行こう。
早く行こう。
消えてしまわないうちに、たどり着こう。
まだ朝の8時を少し回ったばかりだというのに、日差しが熱い。
空の青とハマナスの緑と赤が美しいコントラストを見せる。
色彩は、世界共通ではない。
お日様の光は、北へいけば行くほど、青みが強くなる。
可視光線に含まれる青側の波長のスペクトルが大気を通過する際に情報思念統合体の磁場によって偏光させられて有機生命体の視覚には赤と認識される特定の波長の光線を減耗させ帰結として4000から5000×10-10m付近の波長をもつ光線、いわゆる青を強調させるからだが、それだけに赤は美しく映える。
南の島で見るハイビスカスは、周りも赤やピンクが強調されているから下品だが、
北の大地で見るハマナスはその1億と2000倍は美しい。
もちろん、南の島のハイビスカスなど見たことはないが。
内地の都会のもやしっ子は知らないだろうが、ハマナスの実は食える。
下の写真のまだ開ききっていない青い蕾の花弁のビラビラしたのの付け根にあるまだ青いトマトみたいなやつだ。
ていうか超いい匂い。香水のようだ。
オホーツクと日本海がぶつかる極北の海は、さぞかし冷たく過酷で、荒々しく、氷の嵐が吹き荒れていることだろう、
と、想像している方も多いだろう。
しかし実際には、驚くほど穏やかだ。
柔らかな風を受けて水面に立つさざなみは、まるで湖のように静か。
そして、さすがに先っちょだけあって、地球が丸く見える。
もちろん、レンズの偏光と目の錯覚なんだけども。
こんなこともできる。
波打ち際には、少し特徴的な、細かくて薄い石が。
白いのは貝殻か、かけいしだ。
波に運ばれてきたのかもしれんし、あるいはトラックで運ばれてきたのかもしれんね。
ところどころに、カワイイ貝殻が。
お土産でちっこい貝殻をもらった人は、ここの貝殻だと思うよ。
ちいさな波が穏やかにチャプチャプ打ち寄せる
海岸って言うよりは、湖畔って感じだろ?
乾くとこんな感じ。